土用は年に4回あります
「土用」と聞くと、夏の「土用の丑の日」や、うなぎを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は、土用は夏だけではありません。立春・立夏・立秋・立冬の前にそれぞれあり、年に4回めぐってきます。春の土用、夏の土用、秋の土用、冬の土用と呼ばれ、そのうち立冬の前にあたるのが「秋土用」です。
秋土用の期間と由来
秋土用は、立冬の直前の約18日間です。現在の暦では土用の入りは太陽の位置によって決まるため、期間は年によって少し変わりますが、秋土用はおおむね10月20日ごろから11月6日ごろまでとなります。たとえば2026年の秋土用は、10月20日から11月6日までです。土用の考え方は、中国の五行説に由来します。五行説では、自然界のさまざまなものを木・火・土・金・水の五つに分類し、季節には春=木、夏=火、秋=金、冬=水を対応させます。そこで、四季に直接対応しない「土」を各季節の終わりに配し、立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間を土用としました。土用は、暦の上では季節が次へ移り変わる時期に位置しています。
秋土用には何を食べる?
夏の「土用の丑の日」に比べると、秋土用の食習俗はあまり広く知られていません。現在の暦や季節行事の紹介では、秋土用の「辰(たつ)の日」に、「た」のつく食べ物や青いものを食べるとよい、とされることがあります。「た」のつく食べ物なら、たまねぎ、たこ、鯛など。青いものとしては、さんまやさばなどの青魚が例として挙げられています。ただし、夏土用の丑の日の習俗ほど歴史的な資料や全国的な定着が明確ではありません。厳格なしきたりというより、秋土用を楽しむ季節の習わしの一つとして捉えるとよいでしょう。
土用に避けるとされてきたこと
伝統的な暦や民間信仰では、土用の期間には土を動かすことを避ける習わしがあります。背景にあるのが、陰陽道で土をつかさどるとされる「土公神(どくじん・どこうじん)」への信仰です。そのため、土用には土を掘る、庭を大きく掘り返す、井戸を掘る、建築の基礎工事を行うといった「土動かし」を忌むことがありました。現在でも、造園や建築などの日取りを気にする場合に、こうした習わしが意識されることがあります。ただし、これは暦や信仰に基づく伝承であり、科学的に作業をしてはいけない期間という意味ではありません。
「間日」なら土を動かしてもよい?
土用には「間日(まび)」と呼ばれる日があります。伝承では、間日は土公神が地上を離れるため、土用の期間中でも土を動かしてよいとされています。間日にあたる十二支は季節ごとに異なり、秋土用では「未(ひつじ)・酉(とり)・亥(い)」の日です。具体的な日付は毎年変わるため、気になる場合はその年の暦を確認するとよいでしょう。
季節の節目として秋土用を楽しむ
秋土用は、暦の上では秋から冬へ向かう時期にあたります。土用にまつわる食べ物や禁忌には、五行説や陰陽道、民間信仰などさまざまな背景があります。現代では、それらを必ず守らなければならないというものではありません。昔ながらの暦の文化に触れながら、旬の食事を楽しんだり、冬に向けて暮らしを整えたりする節目として秋土用を意識してみるのもよいでしょう。
