十五夜の由来
十五夜(じゅうごや)とは、旧暦の8月15日の夜に美しい月を愛でる日本の伝統的な行事で、「中秋の名月」とも呼ばれます。この風習は約3000年前に中国で始まり、唐の時代に日本に伝わりました。奈良時代から平安時代にかけて、貴族たちが音楽や詩歌を楽しみながら月見をする文化が形成され、その後、武士や庶民の間にも広まっていきました。
十五夜の風習
十五夜の風習として最も知られているのが「お月見」です。お月見は、収穫物に感謝し、豊作を祈るための行事で、特に農家にとって重要なイベントでした。お月見には以下のような風習があります。
1.お供え物
・月見団子:米の粉で作られた丸い団子で、満月を象徴する15個をピラミッド型に積み上げて供えます。これには収穫への感謝と翌年の豊作を祈る意味が込められています。
・ススキ:稲穂に似たススキは、魔除けや収穫物を守るための飾りとして用いられます。ススキを飾ることで、翌年の豊作を祈る意味もあります。
・農作物:里芋や栗、柿などの秋の収穫物もお供えされます。特に里芋は多産の象徴とされ、「芋名月」とも呼ばれます。
2.伝説と信仰
・月のうさぎ伝説:月の影がうさぎに見えるという話は仏教説話に由来します。うさぎが神様のために自らを犠牲にしたという物語が元になっており、これが月のうさぎの伝説として広まっています。
3.地域の風習
・十三夜・十日夜:十五夜の他にも、旧暦9月13日の十三夜(栗名月、豆名月)や旧暦10月10日の十日夜など、お月見をする日があります。これらの日も収穫物に感謝し、同様にお供え物をします。
十五夜は単なる月見だけでなく、秋の収穫を祝う大切な行事であり、地域や時代によって様々な形で続けられています。現代でも、家族で団子を作り、ススキを飾り、収穫物に感謝するという風習は、多くの家庭で続けられています。