半夏生(はんげしょう)は、日本の暦の中で雑節に分類される節目の一つで、夏至から数えて11日目にあたります。この日は、一年の中で最も陽の力が強いとされる夏至から約半月経った時点で、自然界における陰陽のエネルギーが変わり始める重要な日とされています。
元々は農業に関連する節目として意識され、田の神様への感謝を表す行事や、農作物の生育を祈願する意味合いがありました。特に、半夏生は稲の成長を促す時期にもあたるため、農家にとっては大切な日です。この日までに「畑仕事を終える」「水稲の田植えを終える」目安で、この日から5日間は休みとする地方もあり、この日には、特定の地域で稲の苗を植え替える風習が残っている場所もあります。
また、半夏生は、半夏(はんげ)と呼ばれる植物が生え始める時期とも重なります。この植物は、古くから薬用として利用されており、特に消化器系の不調を和らげる効果があるとされています。現代でも、この時期に半夏を摘み取り、乾燥させたものを薬草として用いる地域もあります。
半夏生にちなんだ食べ物としては、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などの漢方薬が挙げられます。これは、半夏を主成分とする薬で、夏バテ予防や消化不良改善に使われることが多いです。日本の伝統的な節目として、半夏生は今もなお、自然のリズムを感じ取り、健康を考える機会として重視されています。
ただし、半夏生の日付は毎年同じではありません。夏至の日付は毎年変わるため、半夏生もそれに影響を受けます。2024年の半夏生は7月1日になります。