十方暮(じっぽうぐれ)は、日本の伝統的な暦注の一つで、特定の日に関する吉凶を示すものです。この概念は、陰陽五行説に基づいており、特定の日の干支の組み合わせによって「良くない日」とされています。
十方暮の意味と由来
十方暮は、日の干支が「甲申(きのえさる)」から「癸巳(みずのとみ)」までの10日間を指します。この期間は、五行説における相克(そうこく)の関係にあるため、何をしてもうまくいかないとされる凶日です。相克とは、一つの元素が別の元素を攻撃する関係を意味し、例えば「水は火を消す」「火は金(金属)を溶かす」などの関係があります。
十方暮の名前の由来には複数の説があります。一つは、四方八方が閉ざされた闇を意味する「十方暮れ」という表現から来ているというものです。また、「途方に暮れる」という言葉の語呂合わせから名付けられたとも言われています。
十方暮の期間と影響
十方暮の期間は、1年に数回あり、それぞれ10日間続きます。この期間中は、「労して功の少ない日」とされ、新しいことを始めたり、重要な決断をするのは避けるべきとされています。具体的には、婚礼、旅行、引っ越し、訴訟、新しい事業の開始などが挙げられます。
現代への影響
現代では、十方暮は科学的根拠に基づくものではないため、その影響をどの程度重視するかは個人の判断に委ねられています。多くの人にとっては、日常生活において特に意識することはなく、カレンダーに記載されている程度のものです。しかし、伝統や風習を重んじる人々にとっては、十方暮の期間は注意を払うべき時期とされています。
十方暮は、日本の伝統的な暦の知識の一部として、文化的な背景や歴史的な意味合いを持つものです。現代社会においては、その影響をどのように受け止めるかは個々人の価値観や信念によって異なります。