伏見稲荷大社は、日本最大の稲荷神社であり、その歴史は奈良時代に遡ります。最も古い記録によると、和銅4年(711年)に稲荷大神が稲荷山に鎮座されたとされています。この伝承は、全国的に季候不順で五穀の稔りが悪かった時期に、神のご教示により稲荷山に大神を祀ったことに由来しています。その結果、五穀が豊かに実り、国は栄えたとされています。
初午祭は、この稲荷大神の鎮座を記念して行われる祭りで、毎年2月の最初の「午(うま)の日」に開催されます。2024年は2月12日です。初午とは、十二支の一つである「午」にちなんで名付けられたもので、この日には全国の稲荷神社で祭りが行われます。特に伏見稲荷大社の初午大祭は、多くの参拝者で賑わいます。
初午祭では、五穀豊穣や商売繁盛、家内安全などを祈願します。伏見稲荷大社では、初午の日に「しるしの杉」と呼ばれる小枝が授与され、これは商売繁昌や家内安全の御符とされています。また、京都では初午の日に畑菜の辛子和えを食べる習慣があり、これは伏見稲荷大社を創建した秦伊呂具の名前にちなんだものです。
初午祭には、いなり寿司や初午団子、しもつかれなどの特別な食べ物が供えられます。いなり寿司は、キツネの好物である油揚げに稲荷神の恵みである米を詰めたものです。初午団子は、蚕の神様を祀る行事に由来し、繭を模した形をしています。しもつかれは、栃木県を中心に伝わる郷土料理で、大根や人参、鮭の頭などを煮込んだものです。
伏見稲荷大社の初午大祭は、稲荷大神が稲荷山の三ヶ峰に初めて鎮座された日を記念する大祭で、毎年多くの人々が訪れます。この祭りは、稲荷信仰の原点であり、参拝者には五穀豊穣や商売繁盛などのご利益があるとされています。
伏見稲荷大社の歴史と初午祭は、日本の伝統文化や信仰の深さを象徴しており、今も多くの人々に親しまれています。この神社と祭りは、日本の歴史や文化を理解する上で重要な要素の一つです。